私の心さながら明月の如くです
  • 海軍一等飛行兵曹 地藏垰 總憲(じぞうだお ふさのり)命
    昭和二十年六月四日
    南西諸島にて戦死
    島根県那賀郡二宮村出身

御母上様
愈々これが最後です。總憲、この世に生れて以来二十一年、其の間、何一つ御両親様を安んずるが如き事をなし得ず、誠に申訳ございません。今こそ、この御両親様の御高恩に報ゆる時が参りました。總憲一生一度の御奉公、これが父母様へのせめてもの孝行かと思ひます。にっこり笑って散って行きます。
祖国のこの危機を救ふは誰ぞ、我々青年搭乗員です。その男の中の男として空に散らん。悠久の大義に生きるこそ日本男児の本懐(ほんかい)、之(これ)に過ぐるものはありません。
(中略)
今は丁度桜も満開です。あの日本の花と一緒に散って行きます。私の心さながら明月の如くです。身も心も清く一才の童児に立ち帰って散って行きます。(中略)
若(も)し、私散りたりとの報に接せられましたなら、總憲必ず敵空母とさしちがへて散ったと思って喜んで下さい。明るく清い心と体で散ってゆきます。
(後略)

(原文のまま)

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