大好きなお母さん
  • 陸軍中尉  伊賀 新太郎 命
    昭和十九年七月十六日
    比島ルソン島北方海域にて戦死
    東京都淀橋区出身 二十六歳

 お母さん、新太郎の大好きなお母さん。笑って下さい。決して泣かないで下さい。新太郎は堂々と闘ったのです。大部分はお母さんの御手柄であります。
 新太郎の行動の後にはお母さんの優しいお姿が何時も付いて居て、新太郎を励まして下さったのです。美しい名も無き野花の真中に打ち伏すとも、キラくと銀色に輝く南海の藍(あい)の底に眠るとも、新太郎はお母さんの懐(ふところ)の中に眠るが如く安らかに眠ります。何も話をしなくともお母さんのお顔を見て居る丈(だけ)で新太郎は何時も満足でありました。
 御心尽しのお守札は最後迄私の傍(そば)にあります。何も書けません。お母さん、新太郎の大好きなお母さん、たくさんの一人息子を国に捧げた人もあります。強く明るく生きて下さい。お祈り致します。伯父様の後に続きます。私共の後に続く者の強き足音が聞えて参ります。日本は必ず勝ちます。
大日本帝国万歳
天皇陛下万歳
                                                  新太郎
御母上様

(原文のまま)

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