お母様の膝下に帰ってゆきます
  • 陸軍中尉  藤井 冨一 命
    昭和二十年八月六日
    沖縄方面にて戦死
    奈良県生駒郡安堵村出身 二十五歳

(前略)
 永い永い二十五年間心配ばかりをおかけして、一時として安心させる様なことの出来なかったことが何よりも心残りであります。せめて一時でも安心させたかった。しかし、冨一も一人前の男になりました。今こそ最後の御安心をさせる秋が寸前に迫り、喜び勇み居ります。
(中略)
 今更、何も思ひ残す事はありません。ただ感謝、喜び勇んで敵撃滅の決戦の空に、真一文字に征きます。お母さん、祝って下さい。
 お母さん、たとへ私の身体が帰って来なくても、心は必ずお母様の膝下に帰ってゆきます。あのうるはしい山に包まれた故郷の空へ帰ってゆきます。そして、皆様と一緒に日本を守りませう。
(後略)
                                                  冨 一
お 母 様

(原文のまま)

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