たゞ母さんだけは 大切にして上げて下さい
  • 海軍一等航空兵曹 大西 貞一命
    昭和十四年十二月二十六日
    中華民国甘肅省蘭州にて戦死
    香川県香川郡安原村出身

(前略)身を海軍航空界に投ずる時より今日あるを覚悟はしてゐました。武人として将又(はたまた)光誉ある帝国海軍の航空兵として敵地の空に華々しく戦死してゆく事は、この上なき名誉であり男子の本懐、これに過ぐるはないと思ひます。(中略)たゞ母さんだけはどうか大切にして上げて下さい。お年寄だから精々楽をさして上げて下さい。お小遣を充分上げてお寺に詣ったり、又お母さんの好きな処へ遊びに行かして上げたりして、出来るだけ慰めて上げて下さい。それだけは呉々も兄さんにお願ひ申上げます。(中略)戦死したら、村の小学校の子供が葬式に参列してくれるでせうね。可愛らしい子供がね。それが楽しみです。
(中略)
では兄さん、さやうなら。どうかお元気で、しっかり頑張って下さい。
母上様をはじめ皆様の御健康と御多幸を祈ります。

 昭和十四年五月二十五日夜

      再び最后に際して     貞一

市太郎兄上様

(原文のまま)

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