我が故郷
  • 海軍大尉  小久保節彌命
    昭和二十年四月十六日
    南西諸島にて戦死
    愛知県渥美郡伊良湖岬村出身
    二十四歳

我が故郷。
何と美しき四季とりどりの花は咲き、鳥は歌い山あり海あり。
太平洋の何と雄大なる、あの土用波の光景が眼にうかぶ。
椿は咲く。紅い花が咲く。
その下で図画を書いた事もあったっけ。
ゑのぐ筆をなめなめ稚い絵を書いた。
或いは夕野田に鮒釣に行った。
稲を荒して叱られた事もあったっけ。
海 そのもつひびき何と雄々しき事よ。
幼時より海辺に育ち真に偉大なる海に親しむ事が出来た。
ドンとうつ波の音は太古より未来永久につづくであらう。
我が故郷よ。無尽の幸あれ。
然して生れ来る国の童等を何時までも何時までも育んで呉れ。
我がふるさと人よ。
何時までも何時までも、純粋であってくれ。

(遺稿『句集 はまゆふ』から抜粋)

(原文のまま)

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