安らかに大きくなれ
  • 海軍大尉 田村 清命
    昭和十九年十月二十七日
    比島レイテ島東方
    サマール島沖にて戦死
    千葉県安房郡瀧田村出身
    四十四歳

愛する良子(よしこ)、恭子、光子、和代よ。
父なしとて悲しむなかれ。父は聖戦に於て、名誉ある戦死をしたのだ。
御前達は、生前の父をよく知るまい。良子も恭子も永久に記憶に残る程の印象はあるまい。然し、父は御前達の健康さうな、いとしい幼顔が、印象にハッキリして居る。
父は、作業地(訓練地)にあるときも、戦場にあるときも御前達のなつかしい姿を思ひ浮べては、元気を出して居た。
父は、御前達が揃って健康で、満足な五体を所有して居るので、何の懸念もない。安らかに戦死が出来る。
児等よ!安らかに大きくなれ・・・大きくなったら母の意に背かず、父を辱かしめず立派な日本の女性として雄しく生きて呉れ。
姉妹は仲よく結束して、一人の母を守れ。(中 略)
「父恋しくば編⊃声劼悄廚箸蓮父も映画でも見た。本当にさうだ!御前達も名誉の遺児として、社頭の対面もさして頂けるだらう。其の時は、肩身を広く九段に来て呉れ。(中 略)
言ひ遺す事は夫れ丈だ。皆シッカリ育て!
十一月
                                                    父より

(原文のまま)

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