遺書
  • 陸軍曹長 三浦武男命
    昭和十九年七月十八日
    マリアナ諸島サイパン島で戦死
    愛知県愛知郡豊明村出身
    三十歳

一枝
長い間、色々と御世話になりました厚く御礼申し上げます。
此の御恩は、いつまでも忘れは致しません。
今日の日の有ることを既に覚悟してゐて呉れたことと思ふ。
戦死したならば、御國の為と喜んで呉れ。笑って大東亜建設の投石と
なって戦死致します。
一枝や淳、又、生れ来る子供のことを思ふと夫として、又、親として
何らの責任も果たさず、幸福にさせることが出来なかったのを唯一つ
心に残り、可愛さうに思ひますと共に、済まない思ひが致しますが
これも御國の為と泣かずに喜んで呉れ。
たとへ、此の身は戦場に於て露と消へても、魂となって祖國を守り
一枝や淳、又、生まれ来る子供を守って居ります。
信じ切って居る一枝。私が常に言って居る様に、正しい道をふみ行
なって天地に恥じざる行動をとっていただきたい。
淳と生まれ来る子供を立派に教育し育て、家を継がせて呉れるのを
草葉の蔭から祈って居ります。
逢ひたくば、靖國の杜に来て呉れ待って居ります。

武 男

昭和十九年五月二日
一 枝 殿

(原文のまま)

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