遺書
  • 陸軍大尉 片岡正光 命
    昭和十九年十二月五日
    フィリピンレイテ島レイテ湾にて戦死
    熊本県鹿本郡菊鹿村出身
    二十七歳

父上様、愈々私の真価を発揮する時が参りました。
日本男児として、そして又、父上様の子として立派に皇國に殉じます。

今や皇國存亡の決戦に臨んで居る日本人は、総て生死を超越し、
一筋に任務を完遂し皇國を守護し奉るべきであります。

何卒この機この決戦場に送り得る子を持たれたる幸を心して下さいませ。

御老体のこと故、何かと御心労も多き事と思ひますが、
姉上様と共に健やかにお過ごし下さいます様お願ひ致します。

もう少し生きて貰ひたかつた、せめて孫の顔位見たかつたと
お考へになるかも知れませんが、私としましては、今斯くして
死場所を得る事が最上と信じます。

武士の道、帝國陸軍将校の道、皇國の必勝を信じて淡々と勇躍出発します。

何も思ひ残す事はありません、私の戦死をせめてもの喜びとして下さいます様。

では、くれぐれも御身御大切にお過ごし下さいませ。

老いの目に涙殺して笑み給ふ
        父上の姿伏し拝みつつ
 
十一月十八日
                                      正光
父上様

(原文のまま)

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