辞世の書
  • 陸軍准尉 北野正憲命
    昭和十八年十一月五日
    ニューギニアブーツ東飛行場にて戦死
    鳥取県東伯郡赤碕町出身
    二十四歳

父上様、母上様

謹みて正憲辞世の言葉を開陳申し上げます。
過去二十有余年、永々の御養育下されました事を厚く御礼申し上げます。
有難うございました。その間、何一つ孝行のできなかった事を先づ御許し下さい。
私も此の歴史的大東亜戦に参加でき、帝国軍人として国家に御奉公できまし
た事を嬉しく思って居ります。小さい時より軍人を志しその願いが叶って身を
国家に捧ぐる事は、私として最大の宿望であったのです。

(中略)

軍人の父として又母として、国家に盡(つく)した功労は実に最大の名誉であり是以
上の光栄はありません。決して泣いて下さいますな。血湧き肉躍らせつつ勇躍
征途に登りし空中戦の花と散った南海の大空に向って、正憲はよくやったわい
と褒めて下さい。そして声の続く限り萬歳を三唱して下さい。

(中略)

時巡りて若芽吹く桜の春来たれば、編△硫屬硫爾馬靴い辛秕緤貍緲佑鮖呂
兄弟揃って再会する日を待っています。
親戚一同様にも生来お世話になりました。何も盡すことが出来なかった事
を御許し下さい。
正憲の魂は故郷の仏壇にありて、北野家代々の繁栄を守り私は永遠に生きて
います。
                                             北野正憲

(原文のまま)

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