弟へ
  • 海軍大尉
    小倉孝雄 命 
    昭和二十年四月二十四日
    フィリピンルソン島にて戦死
    東京都大田区久ヶ原町出身
    二十一歳

拝啓 晩秋の候、貴殿益々意気軒昴(けんこう)にして生徒生活に全力邁進の
事と御推察申し候。
小生、愈(いよいよ)出陣の時機到来にて全力必死。
唯、皇国の御為、死力を尽くす覚悟に候へば、御安心下され度候。
貴殿もいづれは、帝国海軍将校となるべき修養中の御身なれば、
目標を高きに置き決死の努力研鑽を望む次第に候。
何事も

     気 力
     努 力
     誠 心

により、全て成らざるはなしと確信致す次第に候。
貴殿の兄として充分なる指導をなし得ざりしは、不徳の致す所。
深く恥づる所に候へ共、愛弟の念、切なるものあり。
厳冬に向ふの折から自重、自愛全力生徒生活に突撃せられん事を
切望する次第に候。
                                       敬具
          前夜               
                                      孝 雄

成美 殿
 

(原文のまま)

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