大君の御為に
  • 海軍少尉 本假屋孝夫命 
    昭和二十年三月十八日
    九州東方海面にて戦死
    鹿児島県姶良郡霧島村出身
     二十歳

兄上様 お喜び下さい。
今度、特別攻撃隊員に選ばれて明日愈々出撃することになりました。
大君の御為に役に立つ時が来たのです。男子の本懐これに過ぐるはありません。笑って突っ込んで行く覚悟です。万里の怒涛を乗り越えて敵陣に黒丸一家がなぐり込みをかけるのです。こんな愉快なことはありません。兄上様にも喜んでいただけると思ってます。生きて還らぬ決死の突撃隊です。出水に居る頃は、本当に御世話様に相成りました。深く深く
感謝致しております。御恩は死んでも忘れません。姉上様にもよろしく
御伝え下さい。
「男子生まれ 空行かば 雲染む屍悔あらじ」歌にもあります。
大空の果て珠と砕けるは、我々の最も本懐とする所です。
桜の花が世の人に愛されるのは、惜しまれて散るからです。人間も世の人に惜しまれて散る所に良い所があるのです。人間死場所を逸したらろくな最後はとげられません。
私が死んでもどうか悲しまずに大君の御為によくぞ死んだ天晴れな最後だったとほめてやって下さい。
兄上様、姉上様、憲ちゃん、敬ちゃん達の健康を草葉の陰より祈っております。                       さようなら

花は桜木 陸爆乗りは若い命を惜しませぬ

花のつぼみの二十で散るも何か惜しまん君のため

還らじとかねて思えば梓弓(あずさゆみ) 咲く春を待たずして我は散るなり

(原文のまま)

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