父上様
  • 陸軍兵長 福島 實 命 
    昭和十九年一月十日
    フィリピンにて戦死
    佐賀県神埼郡東脊振村出身 
    二十六歳

拝啓、その後父上他御一同様には、御変はりなく元気の事と思ひます。
實も相変はらず元気ですが、先日敗残兵の敵弾に右肩を見舞われ、
目下手厚く看護を受けてゐます。傷は浅く心配御無用です。
左は自分が作った詩です。あまり良くできてゐませんが、御送り致します。
時候柄御自愛専一。
                                          敬具

                                     實
父上様


武人は名を惜しむ 
咲いて大和の山桜 散って九段の宮柱

千代八千代 栄える大和仰ぎ見る 
君のめぐみのいとどたふとし

千代八千代 敵は幾万来たれども 
びくともしまじ大和魂

支那海の波路の上に父恋し

(原文のまま)

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